長駄文:ジャンドというデッキ
2016年5月22日 Magic: The Gathering コメント (2)まずは宣伝から
リアルPauper大会 鹿狂い杯
6月11日 土曜日 Gameshopさかいや様にて
13:30より受付開始 14:00より試合開始
皆様よろしくお願いします!
以上宣伝。こっから駄文。
最近モダンでジャンドを使い続けて比較的好成績が出せるようになりました。色々なデッキを使っていますが結局のところ最も自分にしっくりくるアーキタイプがジャンドということになるのでしょう。そこで今回ジャンドというデッキのことについて書いていこうと思いました。これは構築論やプレイングではなく、あくまで『ジャンド』という名のデッキが近年のMTG界を駆け抜けてきた昔語りになります。
1. 断片の誕生〜産声は聞こえず〜
ジャンドという名前が始めて現れたのは「アラーラの断片」ブロックからでした。アラーラは有効3色をテーマにした多色ブロックであり、今でもエスパーコントロールやバントカンパニー等、以降の有効3色デッキ名を定義するブロックとなりました。そのうちの一つの断片世界として赤黒緑を担当するのがジャンドということになります。古くはデアリガズカラーとして親しまれていました。
こうした魅力的な多色ブロックであり、多色特有のパワーカード揃いであったにも関わらず、登場した当初は構築界に大きな影響を与えることはありませんでした。というのも当時環境は異様な高速環境であり、質・量・速度が圧倒的なローウィンブロックのカード群に対してアラーラのカードではついていくことが殆どできませんでした。ほそぼそとカードは使用されていましたが、メタゲーム内に食い込む意欲的な新作は現れず、青黒フェアリーを筆頭とした部族デッキが大多数を占めていた記憶があります。こうした流れは次のコンフラックスでも続き、流刑の道等の一部のカードが話題になるだけ(著者の大好きなカメレオンの巨像が除去耐性筆頭の座から引きずり下ろされて深い悲しみを負う等)で殆ど空気のような存在感でメタゲームは突き進むことになりました。
2.隆盛の兆候〜アルティメット坊主めくり〜
空気のような前2ブロックを経て、最終ブロック「アラーラ再誕」が発売されました。全カードが多色というまさに異色のブロックであり、問題メカニズム『続唱』が登場したブロックでした。が、世間は変わらず青黒フェアリーVS黒緑エルフの構図を引き続けました。結局このメタゲームは途中でクイックントースト(5色コントロール)を加えてローウィンブロックが落ちる最後まで終わりませんでした。しかしながらその裏でひっそりと後の王者はウォーミングアップを済ませています。
アラーラブロック・ブロック構築(一つのブロックのみを使用した特殊フォーマット。今はもう、ないです)においてジャンドがトップメタとして活躍していました。荒廃稲妻、芽吹くトリナクス、朽ちゆくヒル、若き群れのドラゴン、大渦の脈動、終止、そして問題児血編み髪のエルフ。これら意味不明の暴力アドバンテージエンジンと超パワーカードを詰め込んだジャンドコントロールはその他全ての断片デッキを圧倒・駆逐し、最終的にジャンドタッチ白という通常のジャンドの更に上のアドバンテージを求めたやりすぎ・欲しがりデッキがブロック構築の王者となりました。ブロック構築は次の環境を占う試金石でもあった為、ローウィンブロックが落ちた後にジャンドはメタゲームの一角を担うだろうという予感を当時の多くのプレイヤー達は持っていたと思います。
3.王者ではなく超者〜ジャンドにあらずんば、人にあらず〜
高速環境の体現者たるローウィンブロックがスタンダードから去り、人気ブロックゼンディガーの登場となりました。前ブロックによって抑えられていたアラーラいやさジャンドはいよいよその枷を外し、一躍トップメタ・・・を通り越して天に昇ってしまいました。GP、PT、草の根に関わらずトップは殆どジャンドコントロール、まさにジャンドの海。高速アグロや広がりゆく海を使用したマナベース破壊等の抵抗を試みるデッキも現れましたが、結局ジャンドの続唱から叩き付けられるアドバンテージに屈する形となり、「ジャンドを倒せるのはジャンドだけ」、「ジャンド以外はファンデッキ」、「マジックは宗教、ジャンドは信仰(坊主捲り的な意味で)」という迷言を生み出しました。こうした環境の一歩先にゆく為にプロプレイヤー達は腐心し続けました。当初ジャンドの2マナには朽ちゆくヒルは鉄板でしたが、ミラーにおいては弱いカードでした。そこでヒルの代わりに不屈の自然を投入し、包囲攻撃の司令官等のより重く強いカードを加えることで相手のジャンドよりも一歩早く脅威を叩き付けるジャンドが開発されました。(日本で最初にこの形を世に提唱したのは斉藤トモハルプロだった気がします)
こうしてジャンドを中心としたメタゲームは多くの人たちを引きずり回しながら続くことになりました。
4.青の不遇〜へんじがない、ただのしかばねのようだ。–刻む者の独り言–〜
さて先述の通りゼンディガーブロックに変わって環境はジャンドの炎に包まれ、白は裂け、青は沈み、環境は赤緑黒の暴力が支配する世界になりました。当時は特に青が弱く、なんらかのテコ入れが必要となり、ワールドウェイクにおいて青の凶カードでありMTG史上最強のパーマネントたる『精神を刻む者、ジェイス』がとうとう誕生してしまいました。後の歴史が証明するように、結局このカードはあまりに強すぎ、しかも調整が不十分であったと公式が認める壊れカードだった訳ですが、当時の青はこれくらいしないとジャンドに立ち向かうことができない背景がありました。そしてジェイス一枚くらい足されたところで青いデッキがジャンドに対する優位性は得られなかったというのが現実でした。ワールドウェイクにおいて有効色ミシュランが追加され、さらなる継戦力をつけたジャンドは已然として王者でした。しかしながら「金持ちバント」の異名を持つ徴兵バントや「こいつでJUNDをぶった斬ってやるぜって意味なのさ、HAHAHA!」と名付けられたナヤライトセイバー等のアンチジャンドデッキが名乗りを挙げ始め、エルドラージ覚醒にてギデオン・ジュラやジェイスを中心とした青白タップアウトコントロール等の青いデッキも復権し、環境はジャンド一色から緩やかに多様な世界に変わりつつありました。
5.巨人の時代〜大地よ、怒りに身を震わせろ〜
緩やかにメタゲームが移り変わろうとしていた時期にM11が発表されました。ローウィンから続くクリーチャーカードのインフレーションはここに5色の巨人という形で結実することになりました。いずれも6マナ6/6でCipとアタック時に誘発する能力を有する巨人達中で、最も力を持っていたのが緑、原始のタイタンでした。そしてこの原始の巨人の力をもって、ほそぼそと火を吹き続けていたヴァラクートランプデッキは大噴火を引き起こし、メタゲームの活火山としてその地位を確立したのです。土地という最も対処しがたいメカニズムによって一度火を吹き始めると容易に止めることができないヴァラクートランプは、環境の終末にあってまさに世界を焼き尽くしました。ジャンドも再び朽ちゆくヒルを採用し、原始のタイタンが登場するまでにライフを詰める等の対処が求められました。この頃になるとジャンドはあくまでメタゲームの一部となり、赤青昇天等のコンボデッキと凌ぎを削るアーキタイプとなっていました。
6.去るとき〜暴力の時代の終焉、鉄と鷹の時代の始まり〜
ミラディンの傷跡ブロックの登場をもって、ジャンドはスタンダードから去ることとなりました。続唱を中心とした暴力アドバンテージの終わりに多くのプレイヤーは安堵したことと思います。著者自身、ジャンドは好きでしたが続唱の理不尽さにはやや辟易していた記憶があります。こうして多くの人に愛され、憎まれたジャンドコントロールというかつての王者は鋼の時代とともに一時その姿を消しました。しかしながらジャンドという名は以降も引き継がれ、赤黒緑のデッキが現れる度にかつての王者の名を冠することとなっているのは周知の通りです。
7.挑戦者として〜そこは深淵か、魔境か〜
スタンダードを去ることとなったジャンドは次なる戦場へ移行しました。いわゆる下の環境であるエクステンデッド、モダン、レガシーに挑戦者として参戦するジャンドのお話はまたいずれかの機会に。
リアルPauper大会 鹿狂い杯
6月11日 土曜日 Gameshopさかいや様にて
13:30より受付開始 14:00より試合開始
皆様よろしくお願いします!
以上宣伝。こっから駄文。
最近モダンでジャンドを使い続けて比較的好成績が出せるようになりました。色々なデッキを使っていますが結局のところ最も自分にしっくりくるアーキタイプがジャンドということになるのでしょう。そこで今回ジャンドというデッキのことについて書いていこうと思いました。これは構築論やプレイングではなく、あくまで『ジャンド』という名のデッキが近年のMTG界を駆け抜けてきた昔語りになります。
1. 断片の誕生〜産声は聞こえず〜
ジャンドという名前が始めて現れたのは「アラーラの断片」ブロックからでした。アラーラは有効3色をテーマにした多色ブロックであり、今でもエスパーコントロールやバントカンパニー等、以降の有効3色デッキ名を定義するブロックとなりました。そのうちの一つの断片世界として赤黒緑を担当するのがジャンドということになります。古くはデアリガズカラーとして親しまれていました。
こうした魅力的な多色ブロックであり、多色特有のパワーカード揃いであったにも関わらず、登場した当初は構築界に大きな影響を与えることはありませんでした。というのも当時環境は異様な高速環境であり、質・量・速度が圧倒的なローウィンブロックのカード群に対してアラーラのカードではついていくことが殆どできませんでした。ほそぼそとカードは使用されていましたが、メタゲーム内に食い込む意欲的な新作は現れず、青黒フェアリーを筆頭とした部族デッキが大多数を占めていた記憶があります。こうした流れは次のコンフラックスでも続き、流刑の道等の一部のカードが話題になるだけ(著者の大好きなカメレオンの巨像が除去耐性筆頭の座から引きずり下ろされて深い悲しみを負う等)で殆ど空気のような存在感でメタゲームは突き進むことになりました。
2.隆盛の兆候〜アルティメット坊主めくり〜
空気のような前2ブロックを経て、最終ブロック「アラーラ再誕」が発売されました。全カードが多色というまさに異色のブロックであり、問題メカニズム『続唱』が登場したブロックでした。が、世間は変わらず青黒フェアリーVS黒緑エルフの構図を引き続けました。結局このメタゲームは途中でクイックントースト(5色コントロール)を加えてローウィンブロックが落ちる最後まで終わりませんでした。しかしながらその裏でひっそりと後の王者はウォーミングアップを済ませています。
アラーラブロック・ブロック構築(一つのブロックのみを使用した特殊フォーマット。今はもう、ないです)においてジャンドがトップメタとして活躍していました。荒廃稲妻、芽吹くトリナクス、朽ちゆくヒル、若き群れのドラゴン、大渦の脈動、終止、そして問題児血編み髪のエルフ。これら意味不明の暴力アドバンテージエンジンと超パワーカードを詰め込んだジャンドコントロールはその他全ての断片デッキを圧倒・駆逐し、最終的にジャンドタッチ白という通常のジャンドの更に上のアドバンテージを求めたやりすぎ・欲しがりデッキがブロック構築の王者となりました。ブロック構築は次の環境を占う試金石でもあった為、ローウィンブロックが落ちた後にジャンドはメタゲームの一角を担うだろうという予感を当時の多くのプレイヤー達は持っていたと思います。
3.王者ではなく超者〜ジャンドにあらずんば、人にあらず〜
高速環境の体現者たるローウィンブロックがスタンダードから去り、人気ブロックゼンディガーの登場となりました。前ブロックによって抑えられていたアラーラいやさジャンドはいよいよその枷を外し、一躍トップメタ・・・を通り越して天に昇ってしまいました。GP、PT、草の根に関わらずトップは殆どジャンドコントロール、まさにジャンドの海。高速アグロや広がりゆく海を使用したマナベース破壊等の抵抗を試みるデッキも現れましたが、結局ジャンドの続唱から叩き付けられるアドバンテージに屈する形となり、「ジャンドを倒せるのはジャンドだけ」、「ジャンド以外はファンデッキ」、「マジックは宗教、ジャンドは信仰(坊主捲り的な意味で)」という迷言を生み出しました。こうした環境の一歩先にゆく為にプロプレイヤー達は腐心し続けました。当初ジャンドの2マナには朽ちゆくヒルは鉄板でしたが、ミラーにおいては弱いカードでした。そこでヒルの代わりに不屈の自然を投入し、包囲攻撃の司令官等のより重く強いカードを加えることで相手のジャンドよりも一歩早く脅威を叩き付けるジャンドが開発されました。(日本で最初にこの形を世に提唱したのは斉藤トモハルプロだった気がします)
こうしてジャンドを中心としたメタゲームは多くの人たちを引きずり回しながら続くことになりました。
4.青の不遇〜へんじがない、ただのしかばねのようだ。–刻む者の独り言–〜
さて先述の通りゼンディガーブロックに変わって環境はジャンドの炎に包まれ、白は裂け、青は沈み、環境は赤緑黒の暴力が支配する世界になりました。当時は特に青が弱く、なんらかのテコ入れが必要となり、ワールドウェイクにおいて青の凶カードでありMTG史上最強のパーマネントたる『精神を刻む者、ジェイス』がとうとう誕生してしまいました。後の歴史が証明するように、結局このカードはあまりに強すぎ、しかも調整が不十分であったと公式が認める壊れカードだった訳ですが、当時の青はこれくらいしないとジャンドに立ち向かうことができない背景がありました。そしてジェイス一枚くらい足されたところで青いデッキがジャンドに対する優位性は得られなかったというのが現実でした。ワールドウェイクにおいて有効色ミシュランが追加され、さらなる継戦力をつけたジャンドは已然として王者でした。しかしながら「金持ちバント」の異名を持つ徴兵バントや「こいつでJUNDをぶった斬ってやるぜって意味なのさ、HAHAHA!」と名付けられたナヤライトセイバー等のアンチジャンドデッキが名乗りを挙げ始め、エルドラージ覚醒にてギデオン・ジュラやジェイスを中心とした青白タップアウトコントロール等の青いデッキも復権し、環境はジャンド一色から緩やかに多様な世界に変わりつつありました。
5.巨人の時代〜大地よ、怒りに身を震わせろ〜
緩やかにメタゲームが移り変わろうとしていた時期にM11が発表されました。ローウィンから続くクリーチャーカードのインフレーションはここに5色の巨人という形で結実することになりました。いずれも6マナ6/6でCipとアタック時に誘発する能力を有する巨人達中で、最も力を持っていたのが緑、原始のタイタンでした。そしてこの原始の巨人の力をもって、ほそぼそと火を吹き続けていたヴァラクートランプデッキは大噴火を引き起こし、メタゲームの活火山としてその地位を確立したのです。土地という最も対処しがたいメカニズムによって一度火を吹き始めると容易に止めることができないヴァラクートランプは、環境の終末にあってまさに世界を焼き尽くしました。ジャンドも再び朽ちゆくヒルを採用し、原始のタイタンが登場するまでにライフを詰める等の対処が求められました。この頃になるとジャンドはあくまでメタゲームの一部となり、赤青昇天等のコンボデッキと凌ぎを削るアーキタイプとなっていました。
6.去るとき〜暴力の時代の終焉、鉄と鷹の時代の始まり〜
ミラディンの傷跡ブロックの登場をもって、ジャンドはスタンダードから去ることとなりました。続唱を中心とした暴力アドバンテージの終わりに多くのプレイヤーは安堵したことと思います。著者自身、ジャンドは好きでしたが続唱の理不尽さにはやや辟易していた記憶があります。こうして多くの人に愛され、憎まれたジャンドコントロールというかつての王者は鋼の時代とともに一時その姿を消しました。しかしながらジャンドという名は以降も引き継がれ、赤黒緑のデッキが現れる度にかつての王者の名を冠することとなっているのは周知の通りです。
7.挑戦者として〜そこは深淵か、魔境か〜
スタンダードを去ることとなったジャンドは次なる戦場へ移行しました。いわゆる下の環境であるエクステンデッド、モダン、レガシーに挑戦者として参戦するジャンドのお話はまたいずれかの機会に。
コメント
ほんまや、修正修正。ありがとうございました。