また宣伝から
リアルPauper大会 鹿狂い杯
Gameshop さかいや様にて
6月11日 13:30から受付開始 14:00から試合開始
参加費 500円
フォーマット:コモン限定構築Pauper 禁止等はMO準拠
ただしエターナルマスターズ発売に伴い、エターナルマスターズ内でコモンとなったカードの使用を可能とします。
どうぞよろしくお願いします。

ここまで宣伝、こっから駄文。
前回の駄文を書いたら結構反響あったのでまた書いてみようと思った。
今回は石鍛冶の神秘家というカードについて。
このクリーチャーを実はあまり自分は使用していない。(無論現在も所有しているし、けっこう使い倒した時期もある) 過去色々あったし、自分との相性もあまり良くないなーという苦手意識もある。しかしながら間違いなく強カードであり、一時代を築き、そして多くの人に愛されるカードであり、今なおその評価は変わることがないカードであることは確かで、その物語は実にドラマチックだと知っているからこそ語ってみたくなった。
またこのカードを語る上で、「精神を刻むもの、ジェイス」を外すことはできない。
今回はこの2枚のドラマについて書いてみようと思う。

1.誕生〜ワールドウェイクの双璧〜
石鍛冶の神秘家は旧ゼンディガーブロック第二エクスパンション、ワールドウェイクのレアとして収録されました。当時ワールドウェイクの目玉として複雑に、そして大体的に世界へ発表されていたのは言うまでもなく最強PWの精神を刻む者、ジェイスであり、ジェイスの発表に比べると周囲の反応は決して大きくなかったと思います。しかし当時のエターナルプレイヤー達はこのカードのポテンシャルにある種の危険性を抱いていたと思います。当時にも旧ミラディンの対抗色剣や梅沢の十手等の強力な装備品が存在していました。しかしながら装備品というシステム上、多くを積むことができませんでした(特に十手は当時のレジェンドルールの関係もあった)が、この生物の力によりシルバーバレット戦略でデッキを構築することが可能となりました。また石鍛冶自体の能力により装備品をプレイする隙を減らし、カウンターを搔い潜ることが可能となったことはFoW(意志の力)等の妨害が飛び交うエターナルにおいて、決定的な攻勢アドバンテージを獲得できるということになったのです。著者自身も当時はジェイスよりも『あれ、これヤバない?』と思い、発売日にジェイスを差し置いて4枚購入した記憶があります。こうして後の環境を席巻する2枚は、かたや花形スターとして、かたやしめやかに世に送り出されました。

2.どくばり〜地味、あまりにも地味〜
さて世に送り出された石鍛冶はエターナルは兎も角としてスタンダード環境では当初地味な存在でした。その頃のスタンダードは前回記しました通りの大ジャンド時代であり、ジェイスですらジャンドの勢力に押されている時期でした。またその時期のスタンダードには強力な装備品がなく、「狡猾な火花魔導士+バジリスクの首輪」や「上陸ボロスアグロの冒険者の装具」等のサポートをしている程度でした。(因に当時の著者は火花魔導士と首輪コンボの接死ティムコンボが好きで愛用しており、環境末期まで愛用していました) 最終的にこの接死ティムコンボはワールドウェイク環境末期のLSVが作成したBoss Nayaというデッキでようやくそのスペックが認識されるようになったのです。こうして極めて地味などくばりコンボの立役者として石鍛冶はスタンダード環境に地味なデビューを飾ったのでした。

3.剣を鷹に〜鉄と鋼の次元がもたらしたもの〜
ミラディンの傷跡によってアラーラから続く(正確にはローウィンから続く)多色環境は幕を閉じ、機械と金属が環境を覆い始めました。ミラディンの再訪、それは多くのプレイヤーが「またやからすのではないか?」という期待と不安を抱きました。結果としてやっぱり色々「やらかした」ブロックとなったわけですが、とりあえず石鍛冶の神秘家にとっては精神と肉体の剣を手に入れる良ブロックとなりました。が、まだまだ活躍というには大人しい時期でした。
急展開をもたらしたの次ブロック、ミラディン包囲戦。往々にして第二ブロックは地味なカードが多い傾向の中、緑太陽の頂点・ミラディンそしてファイレクシアの十字軍・ボーラスの工作員、テゼレットなどなど今も最前線で戦えるカードが多数収録されていました。その中で石鍛冶が見いだしたのは、言うまでもなく『饗宴と飢餓の剣』でした。
4本目の対抗色剣として作られたこの剣は他の剣と比較するとやや地味な印象を受ける文面でしたが、地味な文面から繰り出される光景はもはや饗宴ですらなく惨劇を引き起こしました。剣によるサイズアップとプロテクションは当時多くのクリーチャーを易々と乗り越え、土地のアンタップにより実質2ターンとカウンターを構えるマナをアクティブプレイヤーに提供し、ハンデスによりハンドアドバンテージは一方的に格差を広げ、一度機能を始めたが最後ソフトロック状態に持ち込まれる残虐非道ぶりを発揮。加えてアラーラ以降その壊れぶりを発揮し始めた神ジェイス、ジェイスの能力を額面以上に引き出しながら饗宴と飢餓の剣を担う戦隊の鷹、もはやスタンダードには望めないだろう1マナドロー定業、久しぶりに帰還した優良カウンターマナ漏出などなど饗宴と飢餓の剣と石鍛冶を贅沢かつ強力にバックアップする体制がミラディン包囲戦時代には整ってしまいました。石鍛冶+ジェイス+鷹によるスタンダードABC包囲網は瞬く間に環境からその他のデッキを駆逐し、Caw-Bladeのリングネームで問答無用の残虐ファイトを展開したのでした。

4.スタンダード・ラグナロク〜完成されし祝福をとくと見よ〜
第二ブロックにてその地位をほぼ不動のものとしたCaw-Bladeは、新ミラディン最終ブロック・新たなるファイレクシアにてとうとう『完成』してしまうことになりました。最後の対抗色剣戦争と平和の剣は同型ミラーにおける切り札として石鍛冶のコレクションに並び、攻防一体のフィニッシャーとなり石鍛冶からバレットできる殴打頭蓋を陣営に加え、色の概念を破壊し尽くした悪名高きファイレクシアマナからは万能1マナ無色除去として四肢切断を入手したCaw-Bladeは今で言うレガシーの青白石鍛冶デッキの原型としての形を完成させたのでした。こうして完成したこのデッキに対抗デッキなどそうそうあるものではなく、文字通り環境を蹂躙。世界中の大規模大会のTop8に名を連ね、『Caw-Bladeを倒せるのはCaw-Bladeだけ』と言われるようになりました。そのさまは在りし日のジャンドを彷彿させましたが、当時のジャンドは全く歯が立たないわけでもなく、対抗も十分可能な王者として存在していたのに対して、Caw-Bladeは文字通り並び立つ者がいない皇帝としてスタンダードに居座り続けていました。この頃になると世間の話題はCaw-BladeそのものよりもCaw-Blade以外のデッキに耳目が集まり、支配者を打倒しうるデッキが絶賛されました。2011年のグランプリシンガポールにおいてもTop8のうち7つはCaw-Bladeあるいは派生したデッキであり、その中でたった一人青黒テゼレットを入賞に導いたのは、言うまでもない八十岡プロであり、多くのプレイヤーがそのデッキビルダーとしての八十岡プロを賞賛していたことをよく覚えています。(その頃著者は「新たな造形+荒廃鋼の巨像」コンボデッキで遊んでいました。結果?そらボロボロですよ。)

5.メタゲームは危険な領域に加速・・・しない〜わきまえろよ、ベレレン〜
時折センセーショナルなデッキは出現するも、その後も石鍛冶+ジェイスデッキの圧倒的な支配は続き、Caw-Blade同型を制するために、メインにアーティファクト破壊(神への捧げものなど)の搭載は当たり前、神ジェイスを倒す為に初代ジェイス・ベレレンを投入するなど歪な凌ぎ合いが続いていくことになります。当時のレジェンドルールでは伝説パーマネントおよびPWは両プレイヤーで合わせて1枚しか戦場に存在できませんでした。結果として先にジェイスをプレイしたプレイヤーが得をするというルールであり、これを逆手にとったより軽いジェイス・ベレレンを3ターン目にプレイすることで4ターン目のジェイスプレイをロックするという戦術が成り立ちました。こうした結果、ジェイス・ベレレン自体も硬い忠誠度を持ち、継続的なアドバンテージ源として極めて強力であったことが再評価されたのは皮肉としか言いようがありません。

6.さよならはとつぜんに〜そら、そうよ〜
常にTop8を公然と支配し続けたCaw-Blade。その最後はメタゲームの産物ではなく物理的な手段でスタンダードを去ることになりました。ご存知の通り、石鍛冶の神秘家と精神を刻む者、ジェイスは両名合わせてウィザーズからの禁止措置を受け2011年7月にスタンダードの舞台から降りることになったのでした。スタンダードの禁止措置は旧ミラディンブロック以来、実に6年ぶりの処置でした。石鍛冶の神秘家はその頃に発売されたイベントデッキを使用する場合のみ、公認大会での使用を許されていましたが、実質的な構築シーンからは姿を消すことになりました。こうして押さえつけられていた他のアーキタイプが蘇り、群雄割拠のトーナメントシーンが訪れました。

7.ニュー・ジェネレーションズ〜後に時代を築くデッキの産声〜
Caw-Blade全盛の時代は終わりを告げ、様々なデッキが台頭を始めました。
『出産の殻』
サバイバルの流れを組む、シルバーバレット戦略を主体とした生物デッキ。後にモダンにてその多様性故に禁止となったパワーと魅力を秘めたこのデッキはスタンダードでも人気のアーキタイプとなりました。当時真面目な身代わり等の優秀なCip能力に恵まれたクリーチャーが多く存在していたことも追い風だったと思います。
『欠片の双子』
モダンで一大勢力を築いたコンボデッキ。詐欺師の総督と同じ時代に存在したため即死コンボデッキとしてトーナメントシーンで活躍しました。赤青だけで組まれるだけでなく、出産の殻と併用される構築も多く見られました。著者が環境末期に愛用したのも双子ポッドでした。
『ターボランド』
耕作などのランパンに恵まれ、ムルダヤの巫女・探検等の踏査カードが多く存在したからこそのアーキタイプ。石鍛冶全盛期にも存在し、マナ加速から3ターン目ジェイス、4ターン目赤or青タイタン、聖別されたスフィンクスという雑マジックが魅力でした。ジェイス亡きあとも、破壊的な力を用いて盤面を固定し戦場に残ったタイタンや聖遺の騎士によって蹂躙するかつてのワイルドファイアを彷彿させるビックマナデッキとしてトーナメントを賑わせました。
こうして後にモダンで活躍するデッキ達の雛形がこの頃現れてきたわけです。

8.石鍛冶とジェイス〜それからどうした〜
こうしてスタンダードを完走することなく舞台を去ったこの2枚は引き続きエクステンデット・モダンでも禁止され、その戦場をレガシーと定めました。デッキコンセプトをほぼ変えず、いくつかのカードをレガシー仕様に変更するだけにも関わらず青白石鍛冶というデッキは一時期レガシー界を席巻しました。近年ではその勢力を落としていますが、石鍛冶は引き続きデスタクやパトリオットなどのデッキで活躍し続けています。
今後もおそらく絶えることなく、このカードは戦い続けることでしょう。

以上石鍛冶の物語でした。いまや周知の過去でありますが、本文を書くにあたり思い出せば激動のスタンダードだったなーと改めて思いましたね。ほんとに業の深いカードですわ。

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JUN

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